概要
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本イベントは、ICP HUBSネットワークが世界約40拠点で同時期に開催する「期末報告会の日本セッション」です。ICPの2024年の進展と2025年の展望について、日本コミュニティと共有することを目的としました。
<イベントアーカイブ動画>
0:54 イベントの概要・趣旨、及びキャンペーン等の説明
5:02 ICPの基本情報と歴史
9:03 ICPの独自ポジショニングと特徴
13:00 世界中の40拠点以上での活動 / 主要グローバル・コンテクスト
15:12 ICP Japanでのエコシステムづくり/パートナーシップ
19:27 ICPによるオープンなインターネットの影響について
25:14 ICPの特徴/複数チェーン間の直接対話(1つのwebのように)について
27:00 チェーンフュージョンによりICPのネットワークが成長
31:33 2025年に向けた取り組み/ICPハッカソン2025の開催
39:38 ICPでEVMが使える→他のチェーン(BTC等)をEVMで開発できる
40:44 今注目しているICPのdAppは?
44:11 ICPによる分散型AIの実現について
52:09 今後どの領域から盛り上がる?
ICPの成長の背景(独自ポジショニングの役割)
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ICPは2015年から始動し、2021年のメインネットローンチ以降、独自の発展を遂げてきました。
ICPの最大の特徴は、従来のブロックチェーンプロジェクトとは一線を画す独自のポジショニングにあります。一般的なブロックチェーンがクラウドインフラまでは踏み込まないのに対し、ICPはクラウドそのものをプロトコル化するという野心的なアプローチを取っています。これは単にブロックチェーン技術を活用するだけでなく、クラウドインフラストラクチャの在り方自体を変革しようとする試みです。
この独自性は、現代のインターネットが抱える構造的な課題への解決策として注目を集めています。現状のインターネットでは、クラウドベンダーが必然的に中間に介在する形となっていますが、ICPはこれらの中間者を排除し、よりオープンなインターネットの実現を目指しています。このビジョンは、特にオープンなインターネットの理念を重視する人々から強い共感を得ています。
グローバルでの重要コンテクスト(6つの文脈)
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1. 共通IDとVerifiable Credentials (VCs):
- 国連との協力: デジタル認証の試験運用をカンボジアで開始。
- イタリアでの事例:
- 「Made in Italy」商品の証明にVCsを活用。
- 国際的な証明書運用をデジタル化し、ブランド保護を推進。
2. マルチチェーンクラウド:
- スイスのルガーノ市:
- ICPのマルチチェーン技術を用い、ckBTC(ビットコインのラッピングトークン)を利用した支払いシステムを導入。
3. 高速分散コンピューティング:
- WebAssembly研究センター:
- カーネギーメロン大学と連携し、ICPがWebAssemblyを活用した分散型コンピューティングの研究に参加。
4. クラウド統合のサプライチェーン:
- UAEでの事例:
- 自主リサイクルクレジットイニシアチブを支援し、廃棄物削減50%を目指すプロジェクトをICPで運用。
5. データ主権のあるAI:
- ETHチューリヒAIセンターとの連携:
- ICPを基盤としたデータ主権型AIを研究開発。ユーザーがデータを所有し、AIが分散型環境で学習・運用可能。
6. 地域クラウド:
- EUのGDPRに準拠したクラウド「European subnet」:
- データ保護規則を満たした地域特化型クラウドを構築。
- 他地域での展開:
- アルゼンチンやバーレーンで類似の地域クラウドプロジェクトを進行。
<各国で広がる展開>
- インサイト:
- ICPの技術は単なる暗号資産に留まらず、国際的なデジタル認証やサプライチェーン統合といった具体的な社会問題解決に寄与。
日本へのインスパイア/パートナーシップ
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- パートナーシップ: 国内外の20以上の企業と協力。
- 開発者支援: 助成金、イベント、技術教育を展開。
- ユーザー向けイベント: マルチチェーンdApp等 / UXを向上。
- インサイト:
- 世界で培われた取り組みを日本市場にローカライズし、特に規制面や市場特性を考慮した活動が進行中。
チェーンフュージョンを起点としたエコシステム拡大
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チェーンフュージョンの概要
チェーンフュージョンは、ICP (Internet Computer Protocol) の技術的中核であり、異なるブロックチェーン間の直接的な相互運用を可能にする技術です。この技術により、従来のブリッジに依存しない安全でスムーズなデータと資産のやり取りが実現します。
<従来の課題>
異なるチェーン間の通信にはブリッジを使用する必要があり、これがセキュリティの脆弱性やコスト増加の原因となっていました。
<ICPの解決策>
中間に介在するセントラライズドな構造を排除し、トラストレスでのチェーン間通信を可能に。
チェーンフュージョンの拡大(2024年)
対応チェーン数:
現在、24以上の主要チェーンと直接対話が可能。
成長データ:
過去12か月間でネットワークアクティビティが150%増加。
メッセージ数が20倍に拡大し、エコシステム全体で12.3倍の成長を記録。
エコシステムの拡大への影響
1. マルチチェーンのユースケースの増加
クロスチェーンDeFi:
ICPを介して異なるチェーンの資産を統合管理。
DeFiアプリケーションが複数チェーンにまたがる資産運用を実現。
マルチチェーンウォレットの普及:
ユーザーが異なるチェーンの資産を一元管理可能に。
2. 分散型ガバナンスの推進
マルチチェーンDAO:
異なるチェーンのトークンホルダーが参加できるDAOの形成。
チェーンフュージョンを活用したリアルタイムの投票や意思決定が可能に。
3. 分散型AIとの連携
AIモデルの統合とデータ管理:
チェーンフュージョンを通じて、複数のチェーンから取得したデータをAIがリアルタイムで解析。
AIを利用した資産予測や効率化された意思決定プロセスを提供。
エコシステム拡大を支える具体的事例
1. スイス・ルガーノ市でのクロスチェーン決済
ckBTC(ラップされたビットコイン)を使用した決済システムが稼働中。
スマートコントラクトとチェーンフュージョンを活用し、低コストで安全な支払いを実現。
2. フライウォレット
ICPが基盤のマルチチェーン対応ウォレット。
X(旧Twitter)上で資産移転を実現し、ソーシャルメディアとの統合を進める。
3. 共通IDとVCs (Verifiable Credentials)
グローバルな証明書管理を、ICPのチェーンフュージョン機能で一元化。
例: イタリアの「Made in Italy」証明プロジェクト。
エコシステム拡大の未来
1. 新たなプロジェクトの可能性
エンタープライズ向け:
ICPを活用したサプライチェーン統合や地域特化型クラウド。
ユーザー向け:
マルチチェーンのUXを向上させるアプリケーションの開発。
2. 開発者コミュニティの成長
ハッカソンや助成金プログラムを通じて、次世代のアプリケーション開発を支援。
ICPの開発ツールを活用した新しいダップ(DApp)の増加。
インサイト
チェーンフュージョンは、ICPエコシステムの成長を牽引する重要な技術基盤です。特に、マルチチェーン環境が当たり前になる未来に向けて、そのユースケースは急速に広がっています。
日本市場でも、エンタープライズ、ユーザー、開発者を巻き込んだICPのエコシステム拡大が進むことが期待されます。
ICP Japanの2025年以降の今後の計画
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1. 開発者コミュニティの拡大と強化(インキュベーション)
継続的なハッカソンの実施:
2025年以降も四半期ごとにハッカソンを開催し、開発者コミュニティを拡大。
初心者向けの教育コンテンツやツールを提供し、ICPエコシステムへの参入障壁を低減。
AI、マルチチェーン、分散型アプリケーション(DApp)に焦点を当てたテーマ別ハッカソンを実施。
助成金プログラムの拡充:
プロジェクトごとの段階的な支援を導入。
ユースケースの完成度や市場へのインパクトに応じた助成金分配システムを強化。
<ICPハッカソン2025の開催>
ICPハッカソン2025 オンボーディングイベント/Web3
ハッカソン賞金総額:12,000ドル(約200万円弱)
無料参加: https://lu.ma/pf51a89z
2. エンタープライズユースケースの深化
規制対応と市場参入:
日本の規制に準拠したユースケースの開発を優先。
金融庁のホワイトリストへのICPの登録推進。
国内暗号資産取引所への上場に向けた取り組み。
3. ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上(ユーザ)
マルチチェーン対応アプリケーションやAI融合の普及:
ソーシャルメディアや日常アプリケーションでの暗号資産利用を推進。
vlyウォレットの機能拡張とユーザー向け教育イベントの継続。
ICP基盤での分散型AIの進化により、新たなユースケースを創出。
AIの利便性を最大化しつつ、データ主権を確保するソリューションを推進。
etc
結論
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ICP Japanは、2025年以降、開発者、企業、ユーザーのすべての層を対象にICPエコシステムをさらに拡大していきます。技術革新と市場対応を両立し、日本市場だけでなくグローバル市場においてもICPの存在感を高めることを目指します。
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