【DFINITY】AI がDAppsを書く「Self-Writing Internet」をコンセプトとした「caffeine.ai」を発表
- ICP Japan
- 6月4日
- 読了時間: 8分
更新日:6月4日
― World Computer Summit 2025 ライブで公開された次世代分散AIコーディング環境「caffeine.ai」とは?―「人類はついに AWS を卒業するのか?」
※記事の最後に講演全文を文字起こししたパートを記載しています

2025年6月19日、スイス・チューリッヒで開催されたWorld Computer Summit 2025(WCS25)の最終セッションで、DFINITY Foundationの創設者兼チーフサイエンティスト、ドミニク・ウィリアムズ氏が登壇。「Unveiling the Self-Writing Internet」と銘打った基調講演で、AIベースの分散型コーディングプラットフォーム「Caffeine(カフェイン)」を初公開しました。
壇上ではSteve Jobsの言葉を引用しながら、「人々に良いツールを渡せば、驚くべき成果を生み出す」というビジョンを提示。
現在は世界で約3.5万人しかいないWeb3エンジニアを、「チャットで対話できるスマホさえあれば、明日から誰でもビルダーになれる」という未来像を示し、大会場を沸かせました。
Caffeineとは何か?― 「対話でアプリを自動生成するAI」

チャットベースのインターフェース
CaffeineはWhatsAppやSignalのようなチャットUIを採用し、エンジニアリング経験がない人でも「自然言語で要件を入力→AIが自動的にコード生成→ICP上にデプロイ」の一連工程を全て会話形式で完結させます。
完全分散インフラ:Internet Computer Protocol(ICP)
生成されたコードはすべてDFINITYが開発したブロックチェーン基盤「Internet Computer(ICP)」上で実行・永続化されるため、従来のAWSやGCPといった中央集権クラウドの概念は不要。
直交永続性(Orthogonal Persistence)
ICPの特徴として、アプリケーションの状態(データ)とロジック(コード)が同列にブロックチェーン内で管理される。これにより、AIが再度コードを書き換えても、既存データが消失しない「データ消失ゼロ設計」を実現します。
イントロダクション — 脱中央集権のAIコーディングが鍵になるワケ
従来であれば「エディタでHTML/CSSを書き、GitHubにコミット→CI/CDを経由してAWSやVercelへデプロイ」というステップが必須だったが、Caffeineではすべてチャットの“対話”だけで完了する。
AIがReactベースのフロントエンド、Motoko(またはRust)を使ったスマートコントラクトやデータモデルを生成し、ICP上でデータ永続化。
たとえAIが次回更新でコードを書き換えても、既存記事やタグ情報などが消えずに引き継がれるため、データ消失リスクがゼロ。


従来の AI コーディングツールは、最終的に GitHub・AWS など中央集権クラウドへ“つなぎ込む”工程が避けられなかった。
なぜ「分散インフラ×AI」が革新なのか?
課題 | 問題点 |
ベンダーロックイン | デプロイ先を特定のクラウド事業者に限定されるため、運用権限とコストがクラウドベンダーに委ねられてしまう。 |
インフラ連携の手動化 | AIが自動生成したコードでも、最終的にはエンジニアがGitHubやCI/CDと手動で連携し、ビルド・デプロイを行わなければならない。 |
ガバナンス・監査性の低さ | 自動生成されたコードの変更履歴やセキュリティ監査がクラウド事業者の管理下に依存しており、透明性が担保しづらい。 |
デプロイ先に縛られない自由度
従来、AIがコードを書いても最終的にはAWSやAzureなどに依存していた。一方Caffeineは、ICPという分散ノード網がそのままホスティングと実行基盤を担うため、ベンダーロックインから解放される。
透過的なガバナンス&監査
全てのアプリ動作とデータ更新がブロックチェーンに記録されるため、改ざん耐性と監査性が従来のクラウド環境よりも格段に向上する。
スケーラビリティと高可用性
ICPはノード群をサブネット単位で自動拡張/縮退できるため、大量トラフィックが発生してもオンチェーンでスムーズにスケールアウト。DDoS攻撃やインフラ障害の影響を最小限に抑える。
エンドユーザーへの民主化
既存のクラウドUIやGitワークフローに不慣れな人でも、「会話>コード生成>即時実行>結果確認」という直感的な体験により、誰もが自分のアイデアを形にできる環境を提供する。
これらを総合すると、「対話するだけでアプリを作り、ICP上で自動的に永続化される」というプロセスは、中央集権型クラウドでは決して実現できなかった」点が、まさに「Self-Writing Internet」の真骨頂と言えるでしょう。
DFINITY の「Self-Writing Internet」はここをひっくり返す。AI がコードを書く だけ ではなく、そのコードを走らせる分散型クラウド上に 世界各地の独立ノードが構成する ICP へと解放。
このような中央集権型クラウドの制約を打破し、「AIが生成したコードを、そのまま分散インフラに載せる」パラダイムシフトを標榜したのが、DFINITYが本日発表した「Self-Writing Internet」です。
何がヤバいの?— 5つの着眼点

オンチェーン実行でのデプロイのためフロントエンドもバックエンドもスマートコントラクトも、すべて ICP 上で実行。仮想マシンやサーバーレス環境を意識せずに済む。
着眼点 | 中身 |
誰でも開発者 | 世界の Web3 エンジニア 3.5 万 ↔ スマホ保有 50 億。「明日から全員ビルダー」。 |
会話=プロジェクト | WhatsApp ライクなチャット履歴がそのまま。 |
データ消失ゼロ設計 | IC 2.0 の冗長フレームワークで AI のミスでもデータが飛ばない。 |
運用コスト 1 % | 企業 IT のインフラ費とリリース速度を 1/100 へ。 |
モバイル一級市民 | スマホ UI ファースト。ノンコーダーでもハイパーローカル SNS を構築可。 |
デモ





ドミニク氏のポスト
「今日ご覧になった方はきっと衝撃を受けるでしょう。この技術には私自身の血と汗と涙が込められており、この途方もない努力に関わったすべての方々に感謝します。これはまさにインターネット・コンピュータ2.0と言っても過言ではありません。
今登録すべき?
事前登録を募集中
発表から29日後に実際に使用できるようになります

caffeine.aiは(Self-Writing Internet)事前登録を受け付けています
講演スクルプト全文
いま、みなさんはここに直接参加できているわけですが、オンラインの視聴者から「最後のセッションにも参加したい!」という声がたくさん寄せられました。そこで朗報です。次の基調講演をライブ配信します。配信準備のために2分ほどお時間ください。
それでは、この30分をお楽しみください。次に登壇する方の紹介は不要ですよね。今日すでにお見かけしたはずです。セルフ・ライティング・インターネットの全貌を語るため、2分後に登場するのは――DFINITY Foundationの創業者でありチーフサイエンティスト、ドミニク・ウィリアムズ! それではカウントダウン開始!
ゼロになったら、ドムがステージに現れるので盛大な拍手をお願いします。……緊張してる? いや、もうしてないみたい。
8、7、6、5、4、3、2、1――【音楽・拍手】
みなさん、こんにちは。そしてライブ配信でご覧の方もようこそ。今日はめちゃくちゃワクワクしています。ずっと発表したかった「Caffeine」をついにお見せできるからです。今日はアルファ版をご覧いただきますが、すぐにベータに移行して一般公開します。
それでは早速いきましょう。Caffeineはスティーブ・ジョブズの有名な言葉にインスパイアされています。
「大切なのは人々を信じること。彼らは基本的に善良で賢い。ツールを与えれば素晴らしいことを成し遂げる。」
もし、誰もが“話すだけ”でオンラインアプリやサービスを作れたら? それらは主権的(ソブリン)で、アップデート可能で、セルフ・ライティング・インターネット上で動く――そんな世界を考えました。
現在、世界にいるWeb3エンジニアは約3万5千人。フルスタックエンジニアでも1,500万人ほど。けれどセルフ・ライティング・インターネットが実現すれば、**明日は“全員がビルダー”**になるんです。【拍手・音楽】
スマホを持つ50億人すべてがCaffeineを使えるようになる。
パーソナルアプリでできることは無限大。例えば、家族だけのハイパーローカルSNSで写真に絵文字を付け合ったり、友達同士でビットコインを賭けるeスポーツを開いたり――まったく新しいオンラインの形が生まれます。
ビジネス面でもコストは今の1%、市場投入までの時間も1%に。しかも分散型インフラならではの主権性・耐障害性・セキュリティも享受できます。
ERPやCRMはもちろん、NGOの難民支援アプリ、学校区の資金調達プラットフォーム、小規模ビジネスのテニスコート予約やECサイト――考えうる限り何でも作れる。
これらは世界中の独立ノードで構成された主権ネットワーク上で動き、Internet Computer Protocol (ICP) が数学的に安全なプロトコルでまとめ上げます。私たちはこれを「インターネット・コンピューター」と呼んでいます。
インターネット・コンピューター 2.0は、AIが構築できる特殊なクラウド環境を提供します。
Caffeineの流れはシンプル。①会話する → ②AIがコードを書く → ③そのままデプロイ → ④ブラウザをリロードするだけで変更反映。AIが単独でコーディング/ビルドすると、アプリが自らを書き換える“セルフ・ライティング”が実現するんです。
ではデモをお見せしましょう。
(※以下、デモ操作の実況部分は要点のみ抜粋)
UIはチャットアプリ風。プロジェクト=会話スレ。
「create a smiley web page」と入力 → 数秒でコード生成&デプロイ、ブラウザに😊が表示。
そのまま「Medium風の個人ブログを作って」と頼む → タイトル・本文・タグ・公開日付きブログ完成。
「各投稿に👍ボタン追加して」とリク → 追加仕様を反映し、AIがデータ移行まで自動。
並行して「テニスコーチ向け予約アプリ」も生成。ログイン実装済み、コーチ/生徒ビューあり。
さらに「ICP 4周年パーティー登録アプリ」「Caffeineローンチまでのカウントダウンページ」など、複数アプリをチャット感覚で同時進行。
ポイント
会話=仕様書。AIが逐次Spec→Code→Draftへ。
データ損失ゼロ設計。AIがミスしてもロールバック不要。
驚異の生産性。熟練ユーザーは10個以上のアプリを並行開発可能。
「誰でも自然言語でCaffeineを使える。専門知識は不要」とAIが回答。
QRコードをスキャンして join.caffeine.ai からアルファユーザーに応募してね! 今日のWCSフィナーレ、最後までありがとうございました!【拍手・音楽】
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