ICPのガバナンス 2024: Part 2 — SNS
- ICP Japan
- 1月8日
- 読了時間: 5分

この記事は「Governance on ICP in 2024: Part 2 — SNS」を引用翻訳しています。
2024年を振り返り、2025年の展望を探る
2024年が終了し、インターネットコンピュータ(ICP)のガバナンスに関する昨年の重要な出来事を振り返るとともに、2025年に向けた今後の展望を共有します。
この3部構成のシリーズでは、以下の内容を紹介します。
主要な技術的成果
ICPを統治する NNS DAO と、個々のDappを統治する SNS DAO のガバナンスの原則
技術ロードマップのマイルストーンの更新
本記事では、SNS(Service Nervous System) に焦点を当て、2024年の重要な出来事とSNS DAOの進化について詳しく見ていきます。
SNS DAOの概要と2024年のハイライト
SNSとは? SNS(Service Nervous Systems)は、インターネットコンピュータ上で提供される分散型自律組織(DAO) であり、Dappの分散化を支援する仕組みです。SNSは、プロジェクトの
初期資金を調達し、Dappの所有権をコミュニティに移譲する**「ローンチプロセス」** を備えています。これにより、Dappの進化(トークノミクス、アップグレード、プロジェクトの方向性)を完全にコミュニティが管理できる ようになります。
2023年のSNSの焦点は、SNSローンチの簡素化でした。結果として、2023年末までに14のSNSがローンチされ、2024年12月までにさらに16のSNSが追加されました。このため、2024年の焦点はSNSの成功を支援するツールの提供 へとシフトしました。これには、セキュリティ強化、運営の効率化、ブランディングの柔軟性向上、SNSコミュニティ間の連携強化が含まれます。
2024年の主な進展
セキュリティ強化: トレジャリー資金の保護
2023年末に発生した、SNSトレジャリーからの大規模な資金流出を受け、コミュニティは資金管理の透明性と安全性を向上させるための新しい対策 に合意しました。その結果、重要提案(Critical Proposals) の概念が導入されました。これには、以下の提案が含まれます。
トレジャリー提案(資金の移動)
新規SNSトークンの発行提案
SNS DAO管理のカニスター削除提案
主な変更点:
投票基準の引き上げ: 通常の提案では50%の賛成票が必要ですが、重要提案では67%の賛成票 が必要になりました。
フォローイングの変更: 「キャッチオール」フォローイング(すべての提案に同じルールを適用)から重要提案を除外し、投票者が個別にフォロー先を設定することを義務付け。
投票期間の延長: 通常の提案は4~8日間ですが、重要提案は5~10日間 に延長されました。
トレジャリーの出金制限: 1週間あたりに移動できるICPとSNSトークンの上限を設定 し、大規模な資金流出のリスクを軽減。
さらに、NNSフロントエンドdappも改良され、重要提案を簡単に識別し、投票できる機能 が追加されました。
SNSコミュニティの柔軟性向上: トークンのリブランディング
Web3において、プロジェクトのトークンは単なるガバナンストークンではなく、プロジェクトのブランドやアイデンティティを象徴する要素 です。そのため、SNS DAOのトークンのシンボル、ロゴ、名称をガバナンス提案を通じて変更できる機能 が2024年5月に導入されました。
この機能を活用し、以下のSNSプロジェクトがリブランディングを実施しました。
SNS-1 → Dragginz
Hot or Not → Yral
Modclub → Decide AI
この変更により、SNS DAOはトレンドに合わせてブランディングを進化させ、より認知度の高いブランドを構築できるようになりました。
運営負担の軽減: SNSフレームワークの簡易アップグレード
SNS DAOは、定期的なアップグレードによってセキュリティや機能を維持する必要があります。しかし、2024年秋までは、SNSの各カニスターを個別にアップグレードする必要があり、手続きが煩雑でした。
2024年12月に、新しい提案タイプ 「AdvanceSnsTargetVersion」 が導入され、SNSのアップグレードが簡素化されました。
SNSコミュニティは、単一の提案を提出するだけで最新バージョンにアップグレード可能
アップグレードはバックグラウンドで自動処理され、適切な順序で実行される
手動での調整が不要になり、SNS運営チームの負担が軽減
この変更はSNSコミュニティから高く評価され、日々の運営がスムーズになりました。
SNSコミュニティの連携強化: ICP LabsとDAO Circle
2024年には、SNSコミュニティ間のコラボレーションが進み、知識やツールの共有を目的とした統一されたスペース が生まれました。
2024年8月: ICP Labs DAOに13のDAOコミュニティが参加し、トークンのユーティリティやガバナンスのベストプラクティスについて議論。
DAO Circle(OpenChat): SNS DAOのメンバーが新機能、ガバナンスの改善、DAO関連イベントについて議論できるプラットフォーム として2024年10月に開設。
また、SNS DAO同士のコラボレーションとして、以下のコミュニティ開発ツール が広く活用されました。
SNS Geek: すべてのSNSを一括管理するツール
Cycle Ops: カニスターの消費サイクルを管理し、運用をサポート
Toolkit: ガバナンス提案を簡単に作成できるユーザーフレンドリーなツール
Tally Bot: 提案や投票状況をリアルタイムで追跡
ICHouse Explore: SNS DAOのデータを詳細に分析するトラッカー
これらの取り組みは、SNSエコシステムの成長と長期的な成功を支える重要な要素 となりました。
2025年の展望
2024年は、SNSの運営を効率化し、セキュリティを強化し、SNS DAOコミュニティ間の連携を促進する基盤が整った年 でした。
2025年には、SNS DAOのコミュニティ形成をさらに支援し、より多くのユーザーがSNSガバナンスに参加できるようにすることが主な目標 となるでしょう。特に、提案のトピックごとにフォローイングを容易にする仕組み や、投票先の選択をより分かりやすくする機能 が検討されています。
今後もICPコミュニティとの議論を深めながら、SNS DAOのさらなる進化を支えていきます。
Comentarios