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AI × ブロックチェーンの現状と今後の展望

  • 執筆者の写真: ICP Japan
    ICP Japan
  • 2024年8月15日
  • 読了時間: 4分


この記事は「The Current State of AI x Blockchain, and What’s Next」を引用翻訳しています。


Dfinityの創設者兼チーフサイエンティストであるDominic Williamsが、2024年5月にDfinityのInstitutional Relations責任者に就任したTracy Trachslerと共に、AIとブロックチェーンの交差点についてファイヤーサイドチャットを行いました。本記事では、その内容をまとめます。


GPUの課題:AIモデルのホスティング問題

AIモデルの運用において、どこにホストするかが非常に重要な決定事項になります。 たとえば、ChatGPT(OpenAI) や Llama 3(Meta) などの大規模言語モデル(LLM)は、基本的に開発者が管理する中央集権型サーバー上で実行されます。

しかし、中央集権型サーバーに依存すると、サイバー攻撃に脆弱 になります。 例えば、「スリーパーエージェント」と呼ばれるAIは、特定の条件下で意図的に誤った出力を生成するようにプログラムされる可能性があります。


Decentralized Physical Infrastructure Networks(DePINs)と中央集権型クラウドの競争

DePINs(分散型物理インフラネットワーク)を活用してGPUを提供するアプローチもありますが、 中央集権型クラウドプロバイダー(AWS、Google Cloud、Microsoft Azure)には、以下のような強みがあります。

  1. 巨大データセンターを活用し、よりリッチな機能を提供

  2. 一括購入による価格競争力(例:イーロン・マスクは最近Nvidiaから5億ドル分のチップを購入)

このため、DePINsは中央集権型プロバイダーとの競争が困難であり、より優れた代替手段が求められています。


スマートコントラクトとしてのAI

AIをスマートコントラクト上で動作させることで、以下のような中央集権型AIの限界を克服 できます。

  • 改ざん不可(Tamper-Proof)

    • ICPのカニスター型スマートコントラクトは高度に分散化され、チェーンキー暗号を活用することでサイバー攻撃に対して耐性があります。

    • 単一障害点が存在しないため、ハッキングリスクが低減。

  • 停止しない(Unstoppable)

    • ICPは一度デプロイされたスマートコントラクトを永久に実行します。

    • サーバー障害やデータセンターのダウンタイムに左右されない。

  • 完全自律(Autonomous)

    • スマートコントラクトはDAOによって管理されるか、完全に自己管理型で動作可能。

    • 誰もルールを変更したり、コードを書き換えたりすることができない。


なぜ他のブロックチェーンではAIを完全オンチェーン化できないのか?

ほとんどのブロックチェーンでは、スマートコントラクトのメモリが制限されているため、AIはブロックチェーンと共に動作する(WITH the blockchain) に過ぎません。

一方、ICPではAIをブロックチェーン上で直接実行(ON the blockchain)できます。

  • ICPのスマートコントラクトは32ビットWebAssembly(WASM)仮想マシン を採用し、4GBのメモリ を活用可能。

  • 現在、64ビットWASM への移行を進めており、16GBのメモリ を確保できる見込み。

  • これにより、Llama 3の軽量版をスマートコントラクト上で直接デプロイ可能に。


ブロックチェーンによるAIの進化

では、ICPの「オンチェーンAI」 は、中央集権型モデルの課題をどのように解決する のでしょうか?

想像してみてください。

弁護士100人を抱える法律事務所 では、1つの裁判準備に数週間 かかり、費用も高額 になります。 さらに、人間が行う作業にはミスのリスク も伴います。

そこで、AIオラクル を活用すると、

  • クライアントのやり取り

  • 法律文書

  • 過去の判例データ などをAIが学習し、弁護士を支援できます。

その結果、裁判準備が数日で完了 し、ミスの可能性も低下します。

しかし、中央集権型AIでは以下のリスクが発生

  1. ハッキングリスク(機密データが漏洩する可能性)

  2. ITインフラの障害(裁判直前にシステムダウンした場合、弁護士は必要なデータにアクセスできない)

この点、ICP上のスマートコントラクトでAIを実行すれば、

  • 改ざん不可

  • 停止しない という特性により、これらのリスクが解消されます。


ブロックチェーン×AIの活用事例

ICPの「オンチェーンAI」は、さまざまなユースケースに応用できます。

  1. AI搭載スマートウォレット

    • スマートコントラクトベースのウォレット は、高度なセキュリティを提供。

    • AIが自律的にトレード実行(例:「BTCが$100,000を超えたら、保有資産の50%をUSDCに交換」)。

  2. Solidityコードの監査AI

    • Ethereumのスマートコントラクトを監査し、脆弱性を検出。

    • 完全自律型AI により、透明性と信頼性を向上。



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